ABLENET レンタルサーバーで新しく WordPress のサイトを立ち上げました。
この記事では、ABLENET レンタルサーバーのスタンダードプランを契約し、WordPress の新規サイトを立ち上げるまでに調べた内容についてまとめました。
ABLENET レンタルサーバーは、Web サーバーに LiteSpeed を採用しているレンタルサーバーの中でも比較的安価に性能の高めのサーバーを使用できます。単に安いだけでなくコスパを求める方にはおすすめのレンタルサーバーです。
ABLENET について
ABLENET は、(株) ケイアンドケイコーポレーションが運営するレンタルサーバー/VPSです。1998年2月に創業、2025年2月で27年の歴史を持つ、この業界では老舗の会社です。2003年3月からホスティングサービスを開始、2011年8月からVPSサービスを開始しました。
業界では有名処の、ロリポップ!が2001年11月、エックスサーバーが2003年7月からレンタルサーバーの提供を開始していますので、この2社と同時期からホスティングサービスを開始し、現在まで継続している事から、レンタルサーバーやVPSの運用技術が高いと考えられます。
VPS では WindowsServer だけでなく、各種 Linux ディストリビューション (Ubuntu, Debian, ...) や BSD 系 (FreeBSD, NetBSD, ...) も使用できます。
2023年3月に共用サーバーを一新し、Web サーバーに LiteSpeed を使用する現在の ABLENET レンタルサーバーの形になりました。
ABLENET レンタルサーバーの仕様とプランについて
ABLENET レンタルサーバーのサーバー仕様は各プラン共通です。安価なプランでは仕様が異なるレンタルサーバーが多い中で、どのプランでも仕様が変わらない点は、個人的に好ましいと感じます。
主な仕様を抜粋します。(ABLENETレンタルサーバーの仕様のページはこちら) 私が契約しているもう一つのレンタルサーバーのロリポップ!ハイスピードプランと比較しました。
ABLENET に無い機能は、海外アタックガードです。WAFはありますので、WordPress やプラグインの最新版への更新に注意しておけば、被害を受ける可能性は低く抑えられると思います。
逆に、ABLENET ではバックアップ・復元が Acronis Backup で自動で14日間行われます。復元もコントロールパネルからいつでも行えます。ロリポップ!では当日分1回のみ、複数日のバックアップを残したい場合には有料となります。(WordPress のみのバックアップであればプラグインでも対応可能です。過去記事へのリンク)
機能・仕様 | ABLENET | ロリポップ! ハイスピード |
---|---|---|
Web サーバー | LiteSpeed (Ver.6.0.12) | LiteSpeed (Ver.5.4) |
RAID 構成 | RAID10 | RAID50 (User) RAID10 (System) |
HTTP/2・HTTP/3対応 | ○ | ○ |
無料 SSL | ○ | ○ |
WordPress 高速化 | ○ LiteSpeed Cache | ○ LiteSpeed Cache |
WordPress 簡単 インストール | ○ | ○ |
転送量 | 無制限 | 無制限 |
MySQL データベース | 無制限 | 無制限 |
SSH | ○ | ○ |
コントロールパネル | DirectAdmin | 独自 |
アクセス解析 | ○ | × |
生ログ | ○ | △ 日付指定で ダウンロード |
海外アタックガード | × | ○ |
WAF | ○ imunify360 | ○ SiteGuard |
バックアップ・復元 | ○ Acronis Backup 14日間 | ○ 1日分 有料で7日間 (330円/月) |
どのプランでもサーバー仕様は同じですので、プランは vCPU 数・メモリ量・SSD量の違いで選択できます。(ABLENET の料金のページはこちら)
私はスタンダードプランを契約しましたが、ABLENET レンタルサーバーで WordPress のサイトを立ち上げる場合にはライトプランをおすすめします。GUIを使用しないサーバーでは、6コアでメモリ8GB で十分な性能が発揮できると思います。SSD が300GBだと少なく感じますが、2年間続けたこのサイトのSSD使用量は約13GBです。写真やイラスト、動画がメインのサイトではSSD容量が不足するかもしれませんが、文章がメインのサイトであれば300GBあれば十分だと思います。
プランの変更も可能ですので、先ずはライトプランで WordPress を始めてみるのは如何でしょうか。
プラン | ライト | スタンダード | プレミアム |
---|---|---|---|
SSD | 300GB | 400GB | 500GB |
vCPU | 6コア | 8コア | 10コア |
メモリ | 8GB | 12GB | 16GB |
初期費用 | 0円 | 0円 | 0円 |
月払い | 970円 | 1,430円 | 3,300円 |
半年払い 月額換算 | 5,280円 880円 | 8,160円 1,360円 | 19,200円 3,200円 |
年払い 月額換算 | 9,960円 830円 | 15,840円 1,320円 | 38,040円 3,170円 |
次の項では、LiteSpeed サーバーを使用できる他のレンタルサーバーと料金を比較してみます。
LiteSpeed サーバーを使用できるレンタルサーバーの比較
Web サーバーとして LiteSpeed を使用できるレンタルサーバーは、私が調べた中では7つありました。(サクラバは2025年3月で提供終了ですので除外しています)
同じような vCPU数、メモリ量、SSD量で契約した場合の、月額換算の金額を比較しました。(ドメインを同時申し込みで初期費用が無料の場合も反映) 契約期間の最安値は赤太字にしています。
ABLENET のライトプランは、LiteSpeed 対応のレンタルサーバーの中で、12カ月契約までは最も安価でした。「まずはブログを1年間やってみよう」という用途では、ABLENET のライトプランが低コストで始められて最適だと思います。
更に長期の36カ月の契約は ABLENET レンタルサーバーにはありません。12カ月を超える契約の場合にはロリポップ!ハイスピードプランやコアサーバーV2 CORE-Yプランの方が安価です。
ただし、ロリポップ!ハイスピードプランでは無料バックアップが1日だけですので、追加で7日間のバックアップの費用330円/月を追加すると、36カ月の契約でもABLENET レンタルサーバーと変わらない金額となります。バックアップの日数を重視するのであれば、コアサーバーV2 CORE-Y やラッコサーバー RK2 を選択した方が良いかと思います。
サービス名 | プラン | SSD量 | vCPU数 | メモリ量 | 無料バックアップ | 初期費用 | 1カ月 | 3カ月 | 6カ月 | 12カ月 | 24カ月 | 36カ月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ABLENET | ライト | 300GB | 6コア | 8GB | 14日 | 0円 | 970円 | 880円 | 830円 | |||
ロリポップ! | ハイスピード | 700GB | 非公開 | 非公開 | 1日 | 0円 | 1,430円 | 1,320円 | 1,210円 | 990円 | 935円 | 550円 |
カラフルボックス | BOX2 | 700GB | 6コア | 8GB | 14日 | 0円 | 1,452円 | 1,364円 | 1,276円 | 1,166円 | 1,078円 | 968円 |
mixhost | スタンダード | 無制限 | 非公開 | 非公開 | 14日 | 0円 | 2,187円 | 2,200円 | 1,650円 | 1,320円 | ||
コアサーバーV2 | CORE-Y | 700GB | 6コア | 9GB | 15日 | 0円 | 990円 | 858円 | 803円 | 690円 | ||
JETBOY | スタンダード | 200GB | 6コア | 12GB | 1日 | 1,925円 | 1,738円 | 1,518円 | ||||
ラッコサーバー | RK2 | 400GB | 6コア | 8GB | 30日 | 0円 | 1,238円 | 1,176円 | 1,114円 | 990円 | 743円 |
ABLENET レンタルサーバーで WordPress を使用する
ABLENET レンタルサーバーでも WordPress は簡単にインストールできます。インストール手順が公開されていますので、この通り進めれば OK です。現時点で最新の WordPress 6.7.1 がインストールされました。
LiteSpeed Cache プラグインのインストールと推奨設定も記載されています。
LiteSpeed サーバーを使用!LiteSpeed Cache プラグインを使用して高速化!と謳いつつ、LiteSpeed Cache プラグインの設定については自己責任、サポートしませんという所が多い中で、推奨設定まで記載している事には好感が持てます。
LiteSpeed Cache プラグインの推奨設定と最適化
ABLENET の LiteSpeed Cache プラグインの推奨設定は、表示の乱れを起こしにくい最低限の設定です。(JS の設定は強気ですが)
LiteSpeed Cache プラグインの設定はこれまで幾度も行ってきました。表示の乱れ等をある程度防止しながら、より高速に動作する設定について、今回立ち上げたサイトに適用しました。
ABLENET の推奨設定と、私の設定を抜粋して比較します。私の変更箇所は赤太字です。
項目 | 推奨 | 変更後 |
ドメインキー | 取得 | 取得 |
ゲストモード | OFF | ON |
ゲストの最適化 | OFF | ON |
項目 | 初期 | 変更後 |
キャッシュを有効にする | ON | ON |
ログインしたユーザーを キャッシュ | OFF | OFF |
コメントをキャッシュ | ON | ON |
REST API をキャッシュ | OFF | ON |
モバイルをキャッシュ | OFF | ON |
項目 | 推奨 | 変更後 |
ブラウザキャッシュ | OFF | ON |
項目 | 推奨 | 変更後 |
自動要求 Cron | ON | ON |
自動戻し Cron | ON | ON |
オリジナル画像の 最適化 | ON | ON |
EXIF / XMP データを 保存する | ON | OFF |
WebP 画像への変換 | OFF | ON |
項目 | 初期 | 変更後 |
CSS 圧縮化 | ON | ON |
CSS 結合 | ON | ON |
UCSS を生成する | OFF | ON |
UCSS インライン | OFF | ON |
CSS の外部と インラインを 組み合わせる | ON | ON |
CSS を非同期読み込み | ON | ON |
URL ごとの CSS | ON | ON |
インライン CSS 非同期ライブラリ | ON | ON |
フォント表示の最適化 | Swap | Swap |
項目 | 初期 | 変更後 |
JS 圧縮化 | ON | ON |
JS 結合 | ON | ON |
JS は外部と インラインを 組み合わせる | ON | ON |
JS を遅延読み込み | 遅延 | 遅延 |
項目 | 初期 | 変更後 |
HTML 圧縮化 | ON | ON |
DNS プリフェッチ制御 | ON | ON |
クエリ文字列を削除 | OFF | OFF |
Google フォントを 非同期に読み込む | ON | ON |
Google フォントを 削除 | OFF | OFF |
WordPress 絵文字を 削除 | OFF | OFF |
項目 | 初期 | 変更後 |
画像 遅延読み込み | OFF | ON |
レスポンシブ ブレースホルダー | OFF | ON |
LQIP クラウド ジェネレーター | OFF | ON |
バックグラウンドでの LQIP の生成 | OFF | ON |
不足しているサイズを 追加する | OFF | ON |
項目 | 初期 | 変更後 |
ビューポートイメージ | OFF | ON |
ビューポートイメージ Cron | OFF | ON |
項目 | 初期 | 変更後 |
JS遅延が含まれるもの | 空白 | 空白 |
JS 除外 | jquery.js jquery.min.js | ※ |
JS Defferred / Delayed 除く | jquery.js jquery.min.js gtm.js analytics.js | 空白 |
項目 | 初期 | 変更後 |
CSS 除外 | 空白 | 空白 |
変更内容の概要です。
- 最初の画面内にある画像は優先読み込み (ビューポートイメージ)、それ以外は遅延読み込み。表示されるまで仮の画像表示 (LQIP)
- CCSSではなくUCSS使用。UCSS の方が最適化の度合いが強い。
- JS は最大限に最適化、ただし誤動作しやすいのでJS除外で調整 (※箇所)
- ゲストモードとゲストの最適化、モバイルをキャッシュは全てON
QUIC.cloud CDN を使用しないのであれば、この位の最適化で PSI 95 以上は出ますので十分です。
JS で誤作動する場合には、JS除外で調整するか、JSを遅延読み込みを Defferred か OFF に落とすと直ります。
私のサイト内に LiteSpeed Cache プラグインの設定を行った記録がありますので、興味のある方は参照下さい。
ssh とターミナル
ABLENET レンタルサーバーには ssh でログインが可能です。パスワード認証も使えるようですが、公開鍵認証によるログインを推奨します。
Tera Term で接続する方法が ABLENET で公開されています。
また、コントロールパネルの DirectAdmin 内でターミナルが使えますので、こちらを使う方が簡単です。
私のサイト内で KeePassXC と連携する方法や、WSL2 等で鍵ペアを作成する方法をまとめていますので、興味のある方はご覧ください。
ABLENET レンタルサーバーに ssh でログインすると、一般的な Linux + bash の環境が使用できます。ps コマンドや top コマンドも使用できました。gcc や g++、make もありましたので、簡単なプログラムならコンパイルできるでしょう。
Perl / Python / PHP はありましたが ruby はありませんでした。sqlite は記載されていませんでしたが、sqlite3 が入っていましたので使えそうです。
User Mode の systemd が使えるかなぁと期待していましたが、流石に使えませんでした。Redis はインストールされているようですが、サーバーは起動していないようです。WordPress のオブジェクトキャッシュを使ってみたかったのですが残念です。
ABLENET レンタルサーバーの良い所
まとめです。他のレンタルサーバーと比較して、ABLENET レンタルサーバーの良い所を列記します。
- プランに関わらずサーバー仕様が同一 一番安価なライトプランでも WordPress の運用には十分
- ライトプランは Web サーバーに LiteSpeed を使える中ではコスパ良く最安。
- Acronis Backup で14日間のデータが自動バックアップ、復元もコントロールパネルから行える
- コントロールパネルの DirectAdmin が使いやすい。直感的に用途が分かる。ターミナルもあり、ssh の公開鍵の登録も出来る。
- LiteSpeed Cache プラグインの推奨設定が記載されている。LiteSpeed Cache プラグインで高速化!なんて謳っている割に設定例もないレンタルサーバーとは違います。
ABLENET レンタルサーバーに期待したい所
今後、ABLENET レンタルサーバーに期待したい所を列記します。
- 長期契約 (36カ月) の安価な月額金額の設定 現状は最長でも1年更新ですので、3年契約で月額金額が安価な設定があればと感じました。
- 更に簡略化された WordPress インストールと初期設定 初めて WordPress でサイトを作る初心者の方には、今の手順ではちょっと難しいかもしれません。WordPress のインストールと設定・テーマの反映・LiteSpeed Cache プラグインの推奨設定が反映された状態で、直ぐにブログを始められるようなテンプレートがあればよいのではないかと感じました。
ABLENET レンタルサーバーはおすすめです
ABLENET レンタルサーバーが提供された当時の私のインターネット接続は、1998年頃は ISDN 回線で 128kbps、2003年頃はケーブルテレビの 10Mbps の常時接続を使用していました。 現在の光回線やスマホの4G・5G回線よりも1桁、2桁遅い環境でした。
パソコン通信からインターネットへの変革の時期を10台後半~20台前半に過ごした世代としては、インターネット黎明期に近い頃から現在までの急激な変化に対応しながら、レンタルサーバーを継続して提供されている企業の方の技術力には頭の下がる思いです。
2023年3月から Web サーバとして LiteSpeed を使用するレンタルサーバーに一新して、コスパに優れた魅力的なプランを提供しています。
今回は1年契約でスタンダートプランを契約しました。新しいサイトを活用したいと思います。
コメント